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2014年7月12日土曜日

2014.07.12-13 小川山

記録:白石薫平

メンバー
神澤章、岸元士、田中淳一、塚本宇信、土井崇史(CL)、澤田健太郎、白石薫平

2014年7月12日
晴れのち曇り
廻り目平キャンプ場7:35--8:20取付9:00--10:30稜線(4P終了)--14:10ハンドクラック(13P)--16:15終了点(18P終了)16:30--17:20廻り目平キャンプ場

2014年7月13日
曇り時々雨、のち晴れ
廻り目平キャンプ場7:15--8:35スラブ状岩壁12:50--13:10廻り目平キャンプ場--13:40クジラ岩15:10--15:25廻り目平キャンプ場

この山行は、田中と土井がトレーニング山行として二子山中央稜に行く予定だったのが諸事情で流れ、その代替として実施されたものである。ルートの名称とグレードは北山真(2009)『フリークライミング 日本100岩場 3 伊豆・甲信 増補改訂版』山と渓谷社に基づく。

岸は11日14時頃出発し、夕方には廻り目平キャンプ場に着いたという。学生4人は金曜日に授業等があり、21時に目白に集合して神澤の運転で廻り目平を目指した。12日の0時半頃に到着した。田中は11日に大阪を出て、12日の早朝に到着した。

12日は6時に起床して、各自朝飯を食べた。烏帽子岩左稜線を登る日であり、朝飯後はギア類を確認し、7時半にキャンプ場を出発した。パーティーは田中、土井、澤田と神澤、塚本、白石で分けた。岸は取り付きまで同行し、登攀開始を見届けた後は金峰山まで足を伸ばす予定だった。


屋根岩がよく見えた

遊歩道を歩いて車止めのゲートを過ぎてすぐ、千曲川源流の一つである西股沢を徒渉した。普段は靴を履いたまま渡れるそうだが、今回は週中に日本に来た台風8号の影響で、靴を脱いで水の中を歩く必要があった。岸とはここで別れた。徒渉後、烏帽子沢のガレ場をつめて、ピンクテープを目印に左岸の樹林に入ると、取り付きとなる。

田中パーティーから取り付いた。そのすぐあとに神澤パーティーも登り始めたが、後続の2人パーティーに抜かれた。リードは特に記さない限り、田中と神澤が行なった。

1ピッチ目は岩の溝を登った。少々濡れていて、朝一番で慣れていなかったため少し怖かった。2ピッチ目はまずクラックを登り、右から回りこむように登った。3ピッチ目はダブルクラックを登ってから、バンドに出た。4ピッチ目は下部の核心で、フェイス登りだった。白石は核心で塚本に肩を借りて登った。塚本はヌンチャクを掴んで登った。

5ピッチ目で稜線に出た。岩稜歩きだったが、展望は良くなった。6ピッチ目ではブッシュの中を歩いた。7ピッチ目はフェイスを登った。8ピッチ目はリッジを右から回りこむように登った。

9ピッチ目で再び景色は開け出した。カンテを登った。10ピッチ目は怖いトラバースから始まった。屈んだり岩に腰掛けたり各自が工夫して歩いた。11ピッチ目は左右が切れ落ちて爽快なリッジだった。12ピッチ目は一度下ってから、リッジを歩いてクラックの基部に向かった。

13ピッチ目のクラックはこのルートのハイライトだった。15mのクラックにジャミングを効かせながら登った。土井は足がクラックにきまらず、苦労していた。14ピッチ目はただの歩きで、神澤パーティーは塚本が先頭を歩いた。15ピッチ目は残置スリングを支点にした20mの懸垂下降だった。リッジで左右に振られないように気をつけた。16ピッチ目はチムニー状の岩の隙間を登った。17ピッチ目は残置スリングを支点にした10mの懸垂下降だった。18ピッチ目はトラバース道を歩いた。


ハイライトのクラック

烏帽子岩左稜線のコースは20ピッチのルートであるが、最終2ピッチは省くことも出来る。時間も迫っており、ここで下山することにした。ここからは樹林の中を歩いて降りた。落ち葉で滑り易く、澤田は何度か足をとられた。踏み跡を辿っていくと、烏帽子アプローチボルダー付近の道に合流した。帰りも靴を脱いで徒渉し、焚き火用の薪を拾いながらテントに戻った。岸は金峰山の山頂を踏み、14時頃にはテントに戻ったそうだ。

この後、神澤、田中、土井、澤田で川上村のスーパーまで車で買い出しに行った。残りのメンバーは薪を拾い、火を起こしていた。夕食はカレーであり、焚き火を囲んで楽しい時間を過ごせた。

翌13日は6時に起床し、テントを畳んだ。神澤と田中は各自で朝食を済ませ、残りのメンバーはラーメンを食べた。そして荷物を車に置き、7時半頃ガマスラブに向けて出発した。岸とはここで別れた。

予定していたガマスラブに向かうケルンと踏み跡を見過ごし、フェニックスの大岩まで行ってしまった。引き返し、林の中をどこが目的の岩かどうか確かめながら歩いた。ガマスラブは大変混雑しており、スラブ状岩壁に切り替えた。登ったルートはSong of Pine5.8、高い窓5.10b、ウルトラセブン5.7、かわいい女5.8、小川山ショートストーリー5.9である。

塚本はSong of Pineのレッドポイント、小川山ショートストーリーのオンサイト、トップロープによる高い窓に成功した。かわいい女もリードで登ったが、途中テンションを挟んで登り切った。

土井はSong of Pineのレッドポイント、トップロープでのウルトラセブンと高い窓に成功した。

澤田はSong of Pineのレッドポイント、ウルトラセブンのオンサイトに成功した。小川山ショートストーリーにはトップロープで登った。

白石はSong of Pineのレッドポイント、小川山ショートストーリーとウルトラセブンのオンサイト、トップロープによる高い窓に成功した。かわいい女のリードにも挑戦したが、一つ目のボルトまで登って力尽きた。トップロープで挑戦した際も、雨が降り始めたためかわいい女は濡れていてロープを手繰りながら登ってヌンチャクや支点を回収した。

神澤と田中はいくつかのルートを初めに登ったり、リードで登る者のビレイをしたりした。


Song of Pineをリードする澤田

個人的な感想を記しておくと、フェイス状の小川山ショートストーリーとスラブ状のかわいい女のグレードに困惑した。フェイスの5.9よりもスラブの5.8の方が遥かに難しく感じられたのである。また、逆クリップの問題はリード中に岩に張り付きながら考え込む者もおり、完全に習得しきれたかは疑問である。それでも、この難易度でリードするのは皆初めてだったので、大変良い訓練だった。

雨が弱まった頃、荷物をまとめた。車に戻ってロープやギア類を置いてから、神澤のボルダリングクッションを持ってクジラ岩に向かった。そこでは6級のフィンや9級のフレークに挑戦した。後者は全員が登れたが、前者はヒールフックのムーブやハンドジャムを効かせるのに苦労して、神澤の模範演技のみとなった。

再び駐車場戻って本山行を終了し、田中と別れた。帰りも神澤の運転で、例によって小仏付近で渋滞に巻き込まれたが、20時頃目白に到着して解散した。

振り返ると、12日はマルチピッチの練習、13日はリードの練習と明確な目標の下、効率よく訓練が出来たと考える。マルチピッチは一部5.8のフェイスや5.7のクラックに苦労したものの、ほとんどが岩稜歩きで夏山に向けた実戦の場になった。リードの練習では、各々リードならではの緊張感を味わったはずだ。最高グレードの更新をした者もおり、収穫は多岐にわたるだろう。小川山は色々な難易度の課題があり、今後も是非訪れたい場所だと思った。